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2017年4月16日 (日)

映画『標的の島-風かたか」雑感

映画『標的の島-風かたか』雑感-ひとしずくの涙も出ない俺は人間じゃないかって-

17年4月2日、やんばる急行で那覇まで足を伸ばし、タクシーで桜坂劇場に間一髪滑り込んだ。じっくりと見させてもらった。重い映画だ、というのが第一の感想だ。重すぎて、一滴の涙もでてきやしない。これは現場を同じくしており(辺野古や高江ばかりか宮古や与那国でも)、撮る立場にいるからそう思うのだろうが。悔しさだけが滲み出てくる。

 プロローグは素晴らしい出来だ。16年6月19日の県民集会。元米兵による女性殺害事件に対する怒りの場面から始まる。稲嶺進名護市長の「私たちは風かたかになれなかった」との慙愧なる思い。玉城愛さんの「彼女は私だったかもしれない」が重く響く。そして古謝美佐子さんの「童神」の唄が重なる。ドキュメンタリー映画としては、これ以上に望み得ないほどのプロローグだろう。

 ただ今回の作品は、辺野古、高江から与那国島、石垣島、宮古島に及んだ。時代は島々に起きている問題群を視野に入れずして沖縄を語れない時代に入っているのだから当然だ。ここで難点が2つ3つ。①辺野古・高江と島々の関連をどうしても説明しなければ視聴者に分かってもらえないから、説明(米軍と自衛隊の問題も含めて)が長めになってしまう。②やはり三上監督の地元の人たちとの人間関係が島々での月日が浅いから、辺野古・高江のようにはいかない。私は無理もないと思うが、今後の課題だろう。

 ただ随所に努力のあとが示されている。各島の芸能の場面をスムースに取り上げて、芸能の現場から島の人々の思いを語らせている。そして石垣島の区長さんの娘さんの登場が印象的だった。さすが三上智恵。ここは私が唸らされた場面のひとつだ。

 しかしだからといて、琉球諸島が標的の島になる、さらに日本全体が標的になるのだとは、余り説得力を感じない。島々の問題は、もっとじっくりとやらなければ、監督の思い込みが一人歩きしてしまう。これまでのような三上監督の手法通り人から描くのであれば、もう一工夫も二工夫もしなければならないだろう。

 そして映画の創り方として、3月2日の和解の「良かったね」から終章にかけてのまとまりがないから、知りきれトンボになっている。三上監督が、この時代に対して人々に対して焦っていることは痛いほどよく分かる。だからこそ、余計に冷静な視点が不可欠なのだ。私もどうしたらいいのだろうと嘆息するばかりだが(自分もめちゃくちゃ焦っている)。

 それにしても泣けたという感想がネットに流れてる。何故そうなんだろう、と私には腑に落ちない。もっと冷徹に見なければ、沖縄の問題は、アジアの問題、日本の問題だという視点を取りこぼしていくだろう。私は泣くなとは言わないが、涙の源流がどこからきているのかを冷徹に見つめる視点を鍛え直せと、言いたい。

 

 三上智恵さん、辛口ですまない。私が辛口なのは次に期待しているからだし、自分の課題でもあると考えているからだ。どこかで議論したいね。頑張ろう。

追記:石垣島の予定地の場面が出た瞬間、アカショウビンのさえずりが聞こえてきた。良かった!もっとも高江の場面でも鳴いてましたが。バード・ウォチャーのヤマヒデの感想でした。ついでに言えば、ミリタリー・ウォチャーとしては、いい場面なかったね。

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